電話でのご予約・お問い合わせは
外来:046-888-5010
往診:046-887-0869
〒238-0101
神奈川県三浦市南下浦町
上宮田1738-1

教えてドクターQ&Aarticle

2019年7月

Q. 先日会社の健診で糖尿病と診断されましたが (空腹時血糖165mg/dl、HbA1c 8.1%)、特に自覚症状がないので通院するのが面倒に思っています。症状がなくても病院に行くべきでしょうか。

糖尿病は自覚症状が出る頃には不可逆的な臓器障害を伴っている場合が高く、その頃から治療を開始しても損傷を受けた臓器を元に戻すことが難しいため、悪性腫瘍と同じように糖尿病も症状が出る前に治療を行わなければいけません。例えば糖尿病の合併症の一つに失明がありますが、実際に視力障害を生じた時点から治療を開始した場合、失明は免れても低下した視力を元に戻すことは困難です。また足の浮腫が出現する頃には糖尿病性腎症が進行している可能性が高く、治療によって進行を遅らせることは出来ますが、実際に透析への移行を防ぐことが困難である場合も少なくありません。さらに糖尿病性足壊疽も足が壊疽した段階で治療を開始したとしても、切断は免れるかもしれませんが、損傷した足を元に戻すことは困難です。これらの合併症は早期から治療を開始した場合は発症することがありませんので、糖尿病は早期治療が極めて大切な疾患であると言えます。ご質問を頂いた患者様のHbA1c 8.1%とのことであり、糖尿病を発症してから時間が経っている可能性が高いことから、速やかな糖尿病の治療の開始と同時に神経、眼、腎臓などの合併症の検査が必要です。個人差はありますが、糖尿病は大よそ5年放置すると神経、眼、腎臓の障害が始まり、10年放置すると神経障害による足の痺れ、網膜症による視力障害、腎症による足の浮腫などの症状が出現し、この頃には損傷を受けた臓器を元に戻すことが困難な状況になります。このように糖尿病は徐々に進行する疾患であるため、気が付いた頃には取り返しが付かなくなっている場合も少なくありません。糖尿病の放置は男性の寿命を8年、女性の寿命を11年短くすることが知られていますので、是非とも患者様にはHbA1c 6.0%を超えた時点で一度来院して頂けると幸いです。

2019年4月

Q. 父が糖尿病ですが、高齢のため通院が難しくなってきており、在宅医療を検討しています。インスリン注射もしています。糖尿病での在宅医療では具体的にどのような診察・治療をしてもらえるのでしょうか。

基本的な糖尿病の診療は在宅医療でも外来でも同じことが出来ますので、インスリンを使用している患者様でも気軽に在宅医療を申し出て頂いて構いません。訪問診療時に採血を行ってHbA1cを測定し、インスリンを使用している患者様につきましては、自己血糖測定の記録を見ながら飲み薬とインスリン単位数の調節を行います。尿検査もスピッツを頂ければ、次回の訪問診療時に結果をお渡しすることが可能です。私たち糖尿病専門医にとってインスリンを使用している患者様の在宅医療は難しくありませんが、在宅医療を行う糖尿病専門医が未だ少ないことから、糖尿病の管理に困っている在宅の患者様も多いのではないかと推測されます。またインスリンの患者様が介護施設に入居する際、インスリンを理由に断られる場合があることも大きな課題ですが、インスリンを始めとする注射薬は介護現場からの抵抗が強いことも事実です。治療上、インスリンを使わずに済むのであればそれに越したことはありません。そこでインスリンを使用している患者様に最もお勧めしたいことは、現在使用しているインスリンを離脱出来ないかどうかを糖尿病専門医に相談することです。ご相談を頂いた患者様は長くインスリンを使用されているのではないかと推測しますが、最近では糖尿病の飲み薬が大きく進歩しており、飲み薬を上手に併用することでインスリンの離脱や注射回数を減らすことが出来る可能性があります。「1型糖尿病」や「インスリン依存型糖尿病」と診断された患者様のインスリンの離脱は困難ですが、「2型糖尿病」と診断されている患者様では、インスリンの離脱や注射回数を減らすことが出来た患者様も多くいらっしゃいますので、注射を負担に感じる患者様は一度最寄りの糖尿病専門医に相談してみて下さい。

2018年12月

Q. 70歳男性です。数年前より糖尿病治療を受けているのですが、足の痺れが止まりません。HbA1c 6%台前半で、血糖コントロールが良くても神経障害は治らないのでしょうか。

糖尿病性末梢神経障害は発症早期であれば血糖のコントロールだけで症状が改善することもありますが、中等度以上に進行した場合は進行を止めるだけで精一杯となり、実際に症状を改善させることは難しくなります。神経障害は糖尿病を数年間放置すると発症しやすくなりますので、ご質問を頂いた患者様はもしかしたら神経障害が一定以上進行した段階で糖尿病の治療を開始されたのかもしれません。糖尿病による臓器障害は神経、眼、腎臓、足、脳、心臓と多岐に渡り、症状を自覚する頃には臓器が相応の損傷を受けた後になりますので、 元の状態に戻すことは容易ではありません。一定以上進行した糖尿病の合併症を元に戻すことが出来ないため、糖尿病を早期に治療して合併症の発症を防ぐことが大切ですが、最も安全な方法は糖尿病の発症そのものを止めることです。実は糖尿病は長い時間をかけて発症することがわかっているため、最近では「境界型糖尿病」や「前糖尿病」と言われる糖尿病発症前の段階が注目されるようになってきました。糖尿病の診断基準の一つは空腹時血糖126mg/dl (HbA1c 6.5%) ですが、空腹時血糖100mg/dlを超えた段階から将来的な糖尿病の発症リスクが上昇し、「境界型糖尿病」と言われる空腹時血糖110-125mg/dl (HbA1c 6.0%) の段階になると、その後多くの患者様が糖尿病に至ることがわかっています。つまり糖尿病は長い時間をかけて少しずつ血糖が上昇し続けた結果として発症する病気ですので、早い段階から検査を受け、生活習慣の改善を行うことによって発症自体を予防することが可能です。糖尿病は発症してしまうと認知症や悪性腫瘍のリスクにもなり、男性の寿命を8年、女性の寿命を11年縮めてしまう病気ですが、適切な治療によって合併症の進行を止めることは出来ます。神経障害そのものを治すことは出来なくても、症状を緩和し、進行を抑制することは十分可能ですので、主治医の先生とよく相談して頂ければと存じます。

三浦中央医院三浦中央医院

〒238-0101
神奈川県三浦市南下浦町
    上宮田1738-1
TEL:046-888-5010